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マニアは消失を喜び、一般の観客は出現を喜ぶ。マニアと一般の観客にウケるマジックの違いとは?

マジックを趣味にしているとだんだんマニア好みのマジックにハマっていく方がいます。もちろん趣味なのでそれはそれで良いのですが、マジックをしない一般の観客を相手にしたときにいまいちウケないなんてことになってしまったりするんですね。

誰の言葉だったか思い出せないのですが、「プロは多くの観客に決まったマジックを見せる。アマチュアは決まった観客に多くのマジックを見せる」というような言葉を聞いたことがあります。たしかにそのとおりで、アマチュアはマニア同士でマジックを見せたり、マジックをしない観客でも何度も見せることが多いのでだんだん演じるマジックがマニアックになっていくんですよね。

そこで今回はマニアと一般の観客にウケるマジックの違いについて書いてみようと思います。

マニアは消失を喜び、一般の観客は出現を喜ぶ

昔から客ウケがよく多くのマジシャンが演じているマジックにはマイザーズ・ドリームや鳩だし、傘だしのように何かが出現するものが多くあります。また、消失のマジックでも、消えたあとにどこかから出てくる、出てきて終わるものが多いですね。

一般の観客は出てきて終わるのが好きなものです。一般の観客はマジックをタネではなく現象で見ているからです。

消えるのはその存在の否定的表現です。対して出てくるのは肯定的表現で、ポジティブな印象がありますし、単純に派手ですね。

つまりマジックで表現する現象を見れば出現こそウケるというのは自然なことです。もちろん消失がテーマの優れたマジックもありますが、出現に比べ高度な演出や表現力が必要になると思います。

対してマニアは消失のマジックを好む傾向があります。これは消失の方が難しく不思議だからです。

出現のマジックの場合は、まだ観客に疑われていない状況で隠しておいた物をうまく取り出しさえすれば、あとにはなんの証拠も残りません。消失は消したあとどこに行ったのかと観客に疑われますし、隠し持っているのではないかという疑いを晴らさなければ不思議さが失くなってしまいますからね。

つまりマニアはより難しい現象を達成しているタネに興味があるわけです。

一般の観客はシンプルな現象を好む

マニア相手にマジックを見せていると「こんなこともできる、あんなこともできる」と徐々に複雑な現象を演じるようになってしまいます。マニアなら複雑な現象も真剣に見てくれますからね。

でも、一般の観客相手に複雑な現象を見せると、最後までついてきてくれないことがあります。

例えば3枚のカードを覚えてもらって一気に当てるコレクターのようなマジックやいろんな現象が立て続けに起きるようなマジックは見ていて疲れるとかわかりにくいと思われてあまりウケないことがあります。

もちろんこれは演じるマジシャンの表現力の問題も大きく、多少複雑な減少でもうまく観客を納得させられるだけの説明力があったり、わかりやすいストーリーを組み立てられればちゃんと伝えることはできるのですが、それだけ難易度はグッと上がってしまいます。

カードマジックなら指を鳴らすとお客様のサインしたカードが一番上に上がってくる、アンビシャスカードのようなシンプルなものがけっきょく一番ウケがいいなんてこともあるわけです。

一般の観客に見せるには演出が必要だ

マニア同士でマジックを見せる場合、マジックを見せるというよりも、アイデアやトリックを見せるということになりがちです。結果的に演出やマジックで表現したいこと、ストーリーはおざなりになりがちです。

しかし、一般の観客はトリックで表現される現象を見るのですから、何を表現したいかをきちんと考えて演出を施す必要があります。

マニア目線では不思議なマジックも一般の観客にとってはきちんと説明がないと何が不思議かわからない、なんてこともあるので演出は必要なのです。

一般の観客にはタネはバレなくて当たり前

マニアはマジックのタネについて精通しているのでほとんどのマジックのタネがわかります。そして、自分がタネがわからないマジックを高く評価します。

そのためマニア向けに演じるマジックはタネがわからないようにどんどん複雑化する傾向があります。また、技法を使ったことを追われないようにフェイクムーブを多用したりといった一般の観客に見せるときにはノイズになるような演技の仕方になることもあります。

一般の観客はマジックのタネには詳しくありません。オーソドックスなクラシックのマジックで十分ですし、あえて複雑化したマジックを見せても良いリアクションは返ってこないでしょう。

一般の観客に対してはタネはバレない前提のものであり、その上でマジックの現象を見せているのだということを忘れないようにしましょう。

まとめ

マニアはマジックのタネやアイデアを見ています。一般の観客はマジックの現象を見ています。同じマジックを見るのでも全く視点が違ってきてしまうのですね。

結局のところ一般の観客にウケるマジックとはシンプルでわかりやすいマジックです。マニアが喜ぶようなタネがわかりにくい複雑なマジックではないのです。もしそれ以上のものを見せたいのであれば演出やストーリーを工夫してちゃんとしたショーとして構成する必要があります。

マニア同士の交流を楽しんだり、新しいマジックのアイデアを集めたり、いろいろな原理を研究するのも趣味として楽しく素晴らしいものですが、一般の観客にウケたいと思ったら、一般の観客の視点は忘れないようにしたいものです。