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炎の読心術「Center Tear(センター・テア)」と読心術でお客様に答えを書かせることに関する考察

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先日、マジックの手法がエセ超能力者などに利用されることについて記事を書きました。

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逆にエセ超能力者や霊媒師といった人たちの手法をマジシャンが取り入れることもあります。

「Center Tear(センター・テア)」というのは元々は霊媒師が秘密を守ってきた手法で、これが今から100年ほど前にマジシャンの間で知られるようになったそうです。

元々霊媒師が使っていたくらいですからとてもインパクトの強い読心術の現象で、うまく演じれば本当に心の中を読まれたような気分にさせることができます。

しかし、センター・テアをはじめとした読心術のマジックには手先の技法以上に重要な要素があり、それをわかっていないとせっかくの読心術の持つ力が半減してしまいます。

今回はセンター・テアを例に読心術の持つ問題点とうまく演じるために必要なポイントについて書いてみます。

炎の読心術「Center Tear(センター・テア)」

センター・テアの現象は次のようなものです。

  1. お客様に小さなメモ用紙を渡し、誰か好きな人の名前を書いてもらいます。

  2. 書いた名前が見えないようにメモ用紙を折ってからマジシャンに返してもらいます。

  3. マジシャンはそのメモ用紙を破って燃やしてしまいます。

  4. お客様の心を読んでメモ用紙に書かれた名前を当てます。

センター・テアはとても強力なマジックで、メンタルマジックを得意とするマジシャンならたいていはレパートリーに入れているマジックです。

上の現象では人の名前を書くことにしましたが、行きたい国でも好きな食べ物でもなんでも可能です。要はお客様がメモ用紙に書いた内容を当てるのですが、演出の妙で素晴らしい読心術になるマジックです。

重要なのはあくまでも読心術であることです。読心術はとても強いインパクトがあります。自分の心が読まれたとなれば強いショックを受けるのは当然で、霊媒師が自分の力を示すのに使っていたというのもよくわかります。

お客様に答えを書かせることに関する考察

読心術なのになぜお客様に答えを書かせるのか?

センター・テアでは最初にお客様に紙に答えを書かせます。

本当にお客様の心が読めるのであれば先にお客様に答えを書かせる必要などありません。「好きな人の名前を思い浮かべてください。思い浮かべたのは○○さんですね?」とストレートに当てればいいのです。

しかし、マジシャンは本物の超能力など使えません。だからトリックを用いるし、最初にお客様に答えを書いてもらう必要があります。

お客様に最初に答えを書いてもらうのはマジックの都合ですが、それをお客様に勘づかれてしまうのは失敗です。あくまでセンター・テアは読心術として演じなければ効果は半減してしまいます。

中には読心術ではなく、お客様が書いた文字を千里眼のような力で見るという透視の現象として演じる方もいますが、読心術に比べて現象が弱くなってしまいますし、現象が直接的過ぎて答えを覗き見のではないかと思われてしまいます。

読心術ではよくあることですが、必要性もなく答えを書かせたり、それを覗き見していないことを強調しすぎたりすると、たんに答えを覗き見たのだとバレてしまうこともあります。

だから「読心術なのになぜお客様に答えを書かせるのか?」という問いは重要です。センター・テアを演じるマジシャンは自分なりの答えを用意しておく必要があります。

お客様に答えを書かせる理由

お客様に答えを書かせるには理由が必要です。なにも誰もが納得する合理的な理由である必要はありません。演じるのは超能力なのですから「紙に書くことで思いが強くなる」でも、「書かれた名前には魂が宿る」でもいいのです。

僕はもう少しカジュアルに演じたいのでお客様が複数いたら書いた答えを他のお客様に見せてもらいます。声に出すとマジシャンに聞こえてしまうということですね。後述しますが複数人が答えを知っていることで当て方にも幅ができ、逃げも効くというメリットもあります。

これは良いなぁと思ったセンター・テアの演出はムッシュ・ピエール氏のものです。解説DVDも販売されていましたが、すでに発売中止になっているようです。

ムッシュ・ピエール氏の演出はまずマジシャンがメモ用紙にある絵を書いて、お客様にその絵の中に行きたい場所の名前を書いてもらいます。最終的に行きたい場所がちゃんと当たるのですが、センター・テアの抱える問題点をうまく解消し、お客様から見た演出も自然で素敵です。

読心術の肝は当て方にある

センター・テアに限った話ではありませんが、読心術が不思議に見えるかどうか、お客様に強烈なインパクトを残せるかどうかの肝は当て方にあります。

紙に答えを書かせて、すぐに「○○ですね!」と当てたら誰も自分の心を読まれたとは思いません。答えを示す前にしっかりと心を読む演技を行わなければいけません。

例えば人の名前を当てるのであれば「その人のことをできるだけ強く思い浮かべてください。ではその人に心の中で、心の中でですよ、声には出さないでくださいね。ではその人に向かって心の中でできるだけはっきりと名前を呼びかけてください。うーん、もっと強く、だんだんわかってきました。その人の名前は、、、きったんさんですね?」とこれくらいは最低限やってください。

もちろん台詞の組み立てはいくらでも考えられますが、とにかく最初から最後まで心を読んでいるのだという態度を崩してはいけません。

さらにできれば本当にお客様の心を読んでみてください。もちろん超能力者になれとは言いません。マジシャンはお客様の書いた答えを知っているのです。であればそこからわかる情報や連想されることを使って読心術を演じることができます。

例えば人の名前を書いてもらって答えが「山田花子」だったら、どうやら日本人の女性のようだと言うことがわかります。名前の前に「日本人ですか?どうやら女性のようですね」と段階を踏んで当てていくことができます。

行きたい国の名前を書いてもらったら、そこで何を見たいのか、何をしたいのかといった連想をしてもらって当てることもできます。僕はよく行うのですが、お客様が複数の場合は行きたい国の名前を書いてもらって答えを共有してもらいます。そこからその国から自由に連想してもらうのですが、お客様が10人もいればその国の有名なものを適当に言うだけでもかなりの確率で当たります。

マジシャンはお客様より多くの情報を持っているのですから、それを活用すれば読心術を本物のように演じることができるのです。

まとめ

今日はセンター・テアを例にマジックにおける読心術について思うところを書いてみました。もちろんこれに当てはまらない読心術もありますが、肝となる考え方はどのような手法の読心術でも大きく変わらないと思います。