先日会社の飲み会でマジックを演じることになりいくつかのマジックを演じました。カードマジックやコインマジックは無しで演じたものはすべてメンタルマジック(超能力風のマジック)です。
マジックはかなりウケてとても楽しく演じることができましたが、その中でも特によくウケたのが「Book Test(ブック・テスト)」というマジックでした。
ブック・テストはメンタルマジックの中でもとても人気の高い現象でインパクトが強く、その効果は凄まじいものです。正直にいうと今回はツキも味方してくれて本当の「奇跡」が起きてくれたのでより素晴らしい現象になったのですけどね。それを差し引いてもブック・テストは素晴らしいマジックです。
メンタルマジックを動画で再現するのはお客様役がいないと無理なので今回は動画はなしですが、その代わり手軽にできるブック・テストについても紹介したいと思います。
「Book Test(ブック・テスト)」とは?
ブック・テストというマジックを初めて演じたのは18世紀に活躍したマジシャン、ホフジンサーだと言われていますから、なかなか歴史のあるマジックです。
長い歴史の間に様々な手法が開発されていますが現象は基本的には同じです。観客に本のページを開いてもらいそこに書いてある文章や単語、絵などを当てると言うものです。
本の内容を当てるというところから透視の超能力として演じる方もいますが、多くの場合は本を見た観客の心を読む読心術として演じられます。基本的には読心術のほうがウケが良いですからね。
デビット・ホイ式のブック・テスト
ブック・テストには仕掛けのある本を使ったものから準備のいらない方法まで様々な手法が発表されており、その数は数十からもしかすると数百にも登るかもしれません。
でも、その中でもっとも普及していて、そして僕が最も優れていると思っている方法は最も単純なデビット・ホイ式と言われるものです。名前の通りデビット・ホイというマジシャンが開発したものだと言われています。50年以上前にデビット・ホイの書いた本で発表されたものです。
現象は以下のようなものです。
マジシャンは2冊の本を持っています。観客はそのうちの1冊を選んで取ります。
マジシャンが残った本の端をパラパラと弾いていきストップをかけてもらいます。
ストップのかかったページ数を観客に伝え、観客の持っている本のそのページを開いてもらいます。
観客に開いたページを最初の単語を見て強く思ってもらいます。
マジシャンは観客の心を読んで覚えた単語を当ててしまいます。
ざっくり書くとこの通りですが、きちんと演じると本当に心を読まれたように感じるインパクトのあるマジックです。
デビット・ホイ式は特別な本を使う必要もなく、その場にある本で演じることができるので非常に手軽です。それに借りた本でも演じることができるのでより不思議に感じさせることができます。
方法は本当にシンプルなものでテクニックも一切不要。マジックを初めて演じる方がこのタネを知ったらどう思うのか心配になるくらいです。
「しあわせの書」は奇跡の一冊
マジックの世界に厚川昌男賞という賞があります。いや、正確にはありましたといったほうがいいかもしれません。
厚川昌夫氏は泡坂妻夫という名前で活躍する小説家でしたが、マジックを生涯の趣味にしていた方で、マジック界でも有名な方でした。過去形なのは2009年にすでにお亡くなりになっているからです。
その厚川昌夫氏が小説家、泡坂妻夫として世に出した本の一冊に「しあわせの書」というものがあります。一時期廃版になっていましたが現在は文庫本で販売され手軽に入手することができます。
この「しあわせの書」とブック・テストがどう関係するかというと、実はこの「しあわせの書」を使うと簡単にインパクトのあるブック・テストを演じることができるのです。
この本自体は泡坂妻夫氏の「迷探偵ヨギガンジーシリーズ」の1冊として一般書店に並ぶ普通の小説として販売されているものですが、実はとんでもない仕掛けがされています。本当にとんでもないです。よくこんなものを書き上げたものです。執筆はメチャクチャ大変だったはずです。
「しあわせの書」はいわゆる探偵が事件を解く推理小説なのですが、最後まで読むとこの本に仕掛けられた凄まじい企みがわかるようになっています。そしてその仕掛けを使ってブック・テストが演じられるわけです。
ちなみに小説の中身自体はあまり面白いとは言えません。これはおそらく作者の厚川氏もわかっていたのではと思います。この本の価値はそこではないのです。
「しあわせの書」を購入した方にブック・テストのやり方を解説します
「しあわせの書」を購入して仕掛けはわかってもブック・テストの演じ方がわからないという方もいらっしゃると思います。特に今までマジックを演じたことがない方であれば難しいところもあるでしょう。
しかし、こんな素晴らしい道具を活用しないのはもったいない!マジックにお金を出すだけの価値を感じている方であればやり方の解説をするだけの価値があると思います。
そこで「しあわせの書」を使って演じることができる簡単で効果的なブック・テストのやり方を解説したいと思います。ただし、「しあわせの書」を持っていない方にまで種明かしをするつもりはありませんので解説記事には「しあわせの書」を持っている人ならわかるパスワードをかけさせて頂きます。
また、デビット・ホイ式のブック・テストも一緒に解説します。デビット・ホイ式のブックテストはシンプルでテクニックも不要ながら、きちんと演じればとてもインパクトのあるマジックです。
解説は上の記事で行っています。ぜひ、ブック・テストを演じてもらいたいと思います。
まとめ
ブック・テストは不思議さの強いメンタルマジックの中でも名作の一つです。きちんと演じれば本物の超能力のように見えます。
そうそう、記事の冒頭で書いた飲み会で起きた本当の奇跡についてです。 その時、僕はデビット・ホイ式のブック・テストを演じていたのですが、「この本でもできる?」と聞かれたのでその本でもう一度やることにしたのです。ターゲットのページをチョメチョメして、もう一冊の本をパラパラとやってストップをかけてもらったところ、たまたま止まったページが! デビット・ホイ式を知っている方なら何が起きたかわかっていただけると思います。完璧な現象の完成ですね。